レトロリロン、セカンドEP「ロンリーパラドックス」をリリース!彼らの魅力の核心に触れるインタビュー

インタビュー | 2024.01.23 18:00

2024年のブレイクを予想する、あらゆるプレイリストの中に、レトロリロンの名前がある。涼音(Vo&Ag)の描く、リアル20代の悩みや迷いや情熱の行方を詩的に綴る歌詞、キャッチーなメロディ、全員が音楽大学出身のずば抜けた演奏力と圧倒的な音楽的センスが、より多くの人の耳と心をとらえるまで、あと少し。まずは、満を持してリリースされたセカンドEP「ロンリーパラドックス」を聴こう。リード曲「TOMODACHI」の、軽やかで心地よいリズムとメロディにくるまれた、ヒリヒリするような感情のひだに触れよう。今を生きるバンド、レトロリロンの魅力の核心が、ここにはある。
——2024年の話に入る前に、まずは去年の話から。2023年を振り返って、バンドがどんなふうに成長してきたのか。どんな実感がありますか。
涼音(Vo&Ag)2022年の最後にCOUNTDOWN JAPANに出させていただいて、フェスというものを初体験して、今後自分たちが進んでいく方向が見えてからのスタートだったので。モチベーションも変わりましたし、ステージが大きくなっていったり、地方にたくさん行ったり、フェスに出たり、みたいなことはあったんですけど、そういうことは、たぶん頑張っていけば自然に経験していくことで。内面的に自分が変化していったことのほうが、印象に残っているかなと思いますね。
——それは、たとえば?
涼音今までは、その瞬間に経験していることを曲にすることが多かったんですよね。「深夜6時」を出した時は、不眠症を患っていましたし、今の自分の心境をアウトプットすることが多かったんですけど、2023年の中で、そこをもっと深掘っていくというか、自分の中にある、普段はスルーしているようなところに入り込んでいく感じが増えたかな?と思っていて。そのまとめが、「ロンリーパラドックス」でもあるんですけど。実は、このEPを作る前に、全然曲を作れなくなっちゃったんですよ。
──あら。それはいつ頃のこと?
涼音「ヘッドライナー」(8月リリース)を出したあとですね。「たださよなら、命燃え尽きるまで」(10月リリース)は、すでにレコーディングは終えていたんですけど、「ヘッドライナー」を出してから、全然納得いくものが作れなくて。というか、「ヘッドライナー」が、ちょっと簡単にできすぎちゃったんですよね。
──ほかの曲を先に出すつもりで、ふと思いついて、あっという間にできちゃったんでしたっけ。
涼音そう。その反動なのか、「考えて作ったものは衝動性には勝てない」ということに気づいてしまった。でも次にセカンドEPを出すことが決まっていて、リード曲を新たに書き下ろすことも決まっていて、そうなると、どうしても脳みそで考えがちになっちゃうんですね。出したら出したで、いろんな人が「いい曲だね」と言ってくれそうな曲のタネはいっぱいあったんですけど、衝動性が感じられないから、全部それが輝いて見えないということがあって。
──ああー。なるほど。
涼音10月20日過ぎから、レコーディングに入ることは決まっていて、スタジオも押さえていて、でも曲はない。その時点で、作りかけていたものを思い切って全部ボツにして、もう一回取り組もうと思ったんですけど、それでもうまくいかなくて。結局、その時期を乗り越えてから、「TOMODACHI」「独歩」がポンポンとできたんですけど、何がきっかけだったのか、自分でもよくわかってはいないんです。たぶんさっき言った、自分との向き合い方を変えるきっかけというか、「現状の手札から作るのはやめよう」と思ったことが、きっかけになったのかな?と思ってます。
──技法というよりも、メンタル面の変化ですかね。
涼音思い切って、考え方を変えたんですね。リード曲の「TOMODACHI」はまさにそうなんですけど、生まれた0歳から、今の26歳までの自分に何があったのか。忘れたくて忘れていることもけっこうあると思うんですけど、それを全部引っ張り出してこようと思って、自分の中でフタをしていたものをどんどん開けていった、という感じですかね。しかも、3曲同時進行で作っていたので、同じことばかり書けないという縛りもあって、そもそもの(曲作りの)スタイルを変えたという、きっかけではありましたね。
──ミュージックビデオを作った「DND」は、ブラスセクションが最高にかっこいい、これまでにない曲調が新鮮でした。
涼音「DND」は、リフだけはあったので、「このリフのあとにこういうものが続いたらテンションが上がるな」みたいなものを、衝動的なところから引っ張ってきたら、結果的にああいう感じになりました。管楽器が(頭の中で)鳴っていたのと、そもそもハンドマイクで歌おうということと、その二つは最初から決めてました。「この曲は絶対にライブで、ハンドマイクでやるんだ」と決めて書いたので、アコギも自由に弾けたし、管楽器を入れたいというのも、「これは管楽器だよね」って、メンバーの中でも共通認識があったというか。
永山タイキ(Dr)曲調的にね。
涼音そこからは、早かったですね。

「DND」Official Music Video

──「TOMODACHI」「独歩」「DND」の新曲3曲は、三つ子を同時に育てたみたいな感じですかね。三つ子とは違うかな、曲調が全然違うから。
涼音まあでも、三つ子みたいなもんですね。全部曲調が違って、内容も違うんですけど、 同じ心境を同じ時間の中で書いているので。根本的なところでは、一人の人間から派生する感情みたいな感じにはなっているので。自分の中の喜怒哀楽がそれぞれに出た、という感じですかね。

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