FIVE NEW OLD、3年越しの初ホールワンマン、最高すぎるステージにオーディエンスが歓声&クラップで応える

ライブレポート | 2023.07.20 18:00

FIVE NEW OLD
13th Anniversary One Man Live
"Painting The Town"
2023年7月2日(日)
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

 SEが鳴ると、紗幕がかかっていて、向こう側がうっすら見えるステージに、HIROSHIが現れて、自らのギター1本を伴奏に「Gateway」を歌い始める。しばし曲が進むと、WATARUが登場し、ギターがもう1本、曲に加わる。
 次に、HAYATOがドラムセットの前に座り、キックとハンドクラップでリズムを刻む。オーディエンスも、そのハンドクラップに倣う。そして、曲が後半にさしかかったあたりでようやく、SHUNがステージに出て、ベースが響き始め、4人の音が揃う。
 その「Gateway」が終わると同時に、紗幕がサッと開き、サポートメンバーのふたり=サックス・フルートの谷本大河(SANABAGUN.)とキーボード&コーラスの西野恵未が加わって6人編成になり、「Breathin’」のイントロのリフが鳴る。
 それに反応してオーディエンスがワッと沸いた、と思ったら、照明がパッと明るくなり、ステージ全体が──床も、壁も、後方に置かれているスタンドライトやソファーや観葉植物なども含むすべてが──白一色で統一されていることが、そこで初めてわかる。

 というライブの始まり方で、もう完全に心をつかまれた、僕は。で、その時点で「間違いなくすげえいいライブになる、これ」と、確信した。
 2023年7月2日(日)、LINE CUBE SHIBUYAにて行われた、FIVE NEW OLDにとって初のホールでのワンマンライブ『Painting The Town』。2020年5月24日に、結成10周年を祝うライブとして開催するはずだったが、同年2月末から本格化した新型コロナウィルス禍の影響で1年延期。2021年5月2日に、同じLINE CUBE SHIBUYAで、一度振替日程が発表になったが、東京でまた緊急事態宣言が発令されたため、これも開催することができず。
 最終的に、「10th(+1)Anniversary Live」として、2021年10月27日に、Zepp Diver City (TOKYO)で開催されたが、なので、「10周年を祝う、初のホールでのワンマンライブ」ではなくなった。
 よって、(この日のHIROSHIのMC曰く)「13周年という謎のアニバーサリーになった」、言わば3年越しの悲願のリベンジが、この2023年7月2日だったわけである。この公演のための事前プロモーションとして、5月に大阪と東京で招待制のフリーライブまで開催してから、FIVE NEW OLDは当日に臨んだ。
 頭2曲を歌い終えたHIROSHI、「最高に騒がしい夜にしようぜ!」と呼びかけて、「Not Too Late」、そして「Liberty」へ。ハンドクラップやシンガロングで曲に参加するオーディエンスに「Painting The Townへようこそ!」と叫びながら、もう全開の笑顔になっていた。

HIROSHI

WATARU

 HIROSHIを筆頭に、もともと演奏者&演者としての肉体性がとても高い人たちであり(バックトラックと一緒に演奏する曲が多いのにそう感じさせる存在、なかなか稀有だと思う)、小さなライブハウスだろうが、照明もへったくれもない昼間の野外だろうが関係ない、言ってしまえば「演出とかなきゃないで平気」な、ライブハウス叩き上げのバンドが、FIVE NEW OLDである。
 と、自分は認識している。現に、この日の3週間前(6月11日)に観たフェス『TOKYO ISLAND』でのステージも、まさにそういうものだった。
 しかし、このLINE CUBE SHIBUYAは、その肉体性に、緻密で細やかな演出を加えることで、オーディエンスをより楽しませたい、オーディエンスにより伝えたい、という意志に貫かれたものだった。で、そのことが、見事に成功していた。
 1曲ごとに細やかに色やトーンを変える照明。同じく、白いキャンバス状の壁に映し出される紋様や映像。サックスとギターのインプロで始まる曲あり(「Hole」)。後方の壁にバンドロゴが浮かび上がる曲あり(「LNLY」など)。朝焼けのようなオレンジ色で、ステージが染め抜かる曲あり(「In/Out」)。本編後半の「What’s Gonna Be?」では、ステージ後方の壁が画面になって、効果映像が大映しになる──。

HAYATO

SHUN

 その2曲前の、ドライアイスが立ち込める中でピアノが響いた「Moment」が終わったところで、HIROSHIが感謝を伝えたところ、オーディエンスの拍手が止まらなくなる。一瞬呆気にとられたあと、しばしその拍手を味わったHIROSHIが口にしたのは「……ええ奴やな、みんな」という言葉だった。
 ちょっと笑ってしまった、思わず素になった感じが伝わってきて。でも、気持ちはよくわかった。基本的にいつもオーディエンスが熱い、みんなすごく能動的なのがFIVE NEW OLDのライブだが、この日はとりわけそうだったので。
 この日の彼は、前半から後半まで「最高!」という言葉を何度も口にしたが、その気持ちもよくわかった、どの時も。特に印象的だったのが、後半の17曲目、FIVE NEW OLD内でおそらくもっともシンガロングの起きる曲「Sunshine」。HIROSHIが「歌える?」と問いかけると、ものすごいボリュームの歌声が返ってくる。そのたびに「最高!」と返すHIROSHIは、曲の後半で、「愛してるぜ、おまえらマジで最高!」と、絶叫した。
 本編のラストは、FIVE NEW OLD流のゴスペル・チューン(というつもりで作ったのかどうかは知らないが、そう感じられるところがいいと思う)、「By Your Side」。曲の途中で客席に下りたHIROSHIは、歌いながら後方まで、ぐるーっと歩き回った。オーディエンスのそばで歌いたかった、というか、一緒に歌いたかった、そんなふうに見えた。

 アンコールでは、このライブのために事前に仕掛けた、13周年なので「13枚のカードトリック」(と銘打って、いろんなことを発表していく)のうち、最後の3枚がまだだったので、そのうちの2枚をここでオープンにする、と告げるHIROSHI。
 そのひとつは、この日のライブが、ステージの裏側に密着したドキュメント映像も混みで、スペースシャワーTVで放送されること(7月31日(月)22:00〜23:00初回放送)。
 もうひとつは、秋〜冬に、ツアー『“Painting Your Town” Tour』を開催すること。今日は『Painting The Town』に来てもらった、今度はこちらからあなたの街に騒ぎに行きます、ということだ。
 そして、さらにここで、特別に新曲が披露された。タイトルは「Crying with No Sound」。音のない声。コロナ禍のこの数年間に、音楽をやる人間として、そして普通に暮らしてきた人間として感じたことをこめた、というこの曲を、4人+2人は丁寧にオーディエンスに届けた。みんな初めて聴く曲にもかかわらず、曲の後半ではハンドクラップが起き、曲が終わるとそれがそのまま長い拍手になる。「まだレコーディングもしてない曲なんですけど、楽しみにしててください!」とHIROSHI。
 続いて、ファンキーな「Don’t Be Someone Else」でハンドクラップ&ステップを巻き起こしてからの、ラスト・チューンは「Please Please Please」。歌い始める前にイントロにのせて、HIROSHIは「今日みたいな日があるからさ、人生やめらんねえよな──」と、オーディエンスに感謝を伝えた。そして、客席とステージをライトが照らし、今日何度目か、ステージのまっ白い全貌が見える中、曲が奏でられる。それに合わせて、この日最大のハンドクラップと、「♪ラララララ」のシンガロングが、LINE CUBE SHIBUYAを包んだ。

SET LIST

01. Gateway
02. Breathin’
03. Not Too Late
04. Liberty
05. Happy Sad
06. Summertime
07. Hole
08. Ghost In My Place
09. LNLY
10. Too Good To Be True
11. In/Out
12. One by One
13. Fast Car
14. Moment
15. Perfect Vacation
16. What’s Gonna Be?
17. Sunshine
18. Trickster
19. By Your Side

ENCORE
01. Crying with No Sound
02. Don’t Be Someone Else
03. Please Please Please

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